夢の家族設定

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【注意】このお話はtwitterの診断結果を基にした特殊パラレル設定となっています。苦手な方はご注意下さい。[設定:父がリズヴァーン、兄が有川将臣、妹が梶原朔、ペットが平敦盛]

「おい、いつまで寝てんだよ」
「ん~……将臣くん? おはよ~……」
「おはようじゃねぇよ。いい加減起きないと、遅刻するぞ?」
「え? 遅刻っ!?」
がばっと身を起こした望美に、将臣がやれやれと呆れた様子で部屋を出て行く。

「あれ? なんで将臣くんが私の部屋にいるの?」

登下校を共にはしていたが、部屋に起こしにくることはなかったのに。
そう首を傾げながら、階下へと降りて行く。

「おはよう、望美」
「おはよう、朔……ッてどうして朔がいるの!?」

テーブルで優雅に紅茶を飲んでいるのは、異世界の親友・朔。
驚き固まっている望美に、朔は困った人ねと微笑んだ。

「望美。お前もご飯を食べて、早く支度をしなさい」
「せ、先生っ!?」

すっとテーブルに朝食を並べてくれたのは、剣の師であるリズヴァーンで。

「私、夢見てるの?」

ありえない状況に自分の頬をつねるも、痛みに顔をしかめた。

「神子、おはよう」
「あ、敦盛さんっ!?」
足元にいるのは、小型犬サイズの敦盛。
その頭には犬の耳が、後ろには尾まで生えていた。

「敦盛さんっ! どうしたんですか、その姿?」

「私はいつもと変わらないが……それよりもいいのか? そろそろ家を出ないと学校に間に合わないのではないか?」

「そうよ。早く食べてしまわないと」

「うむ」

敦盛に朔・リズヴァーンにまで促され、望美はわけが分からないままにご飯を食べ、慌てて支度を整えた。

「寄り道はせずに帰るように」
「神子……あなたの帰りを待っている」

玄関でリズヴァーンと敦盛に見送られ、将臣・朔と連れ立って歩きながら、望美はそっと将臣に耳打ちをした。

「ねえ。どうして朔が私たちと同じ制服着てるの?」
「はあ? お前、まだ寝ぼけてるのか? 同じ学校なんだから、制服が一緒なのは当たり前だろ」
「同じ学校?」
目を瞠った望美に、将臣がはぁとため息をついた。

「お前、自分の妹だろ? 寝ぼけるにしてもひどくないか」
「妹~!?」
驚き思わず叫んだ望美に、朔が柔らかく微笑んだ。

「兄上。また望美をからかって遊んでいるんですか? ほどほどにしてくださらないと」

「俺がからかってんじゃねぇよ。こいつがおかしなことぬかしてんだよ」

「兄上ぇ!? 妹っ!?」

当然のように兄と呼ぶ朔と、普通に返している将臣に、望美は呆然とその場に固まった。

(落ち着け、私。こんな美味しい家族状況、夢以外の何者でもないじゃない。そうよ、私は夢を見ているのよ!)

冷静に今の現状を分析した望美は、うんと一人納得して頷くと、朔と将臣の手を取った。

「なんだよ」
「ふふ、どうしたの?」
「2人と手を繋いで学校に行きたいなぁって思ったの」

こんな美味しい状況を見逃すことはないと、望美は満面の笑みで2人を見る。
異世界では一緒に過ごす時間が少なくなった将臣と、この世界にはいないはずの朔が制服を着て、当たり前のように並んで登校するという幸せな夢。
たとえそれが一時のものであったとしても、この瞬間を大事にしたいと、望美はしっかりと2人の手を握った。
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