疑問

雅真2

「雅刀ってあごだけのばしてるの?」
「………は?」
いつもながら唐突な真奈の問いに、雅刀は虚をつかれて彼女を見た。

「だって、あごだけひげが濃いから」
「……………」
はぁ、と目をつむると呆れたように息を吐く。

「……別にのばしてなどいない。ただ濃いだけだろう」
そのようなことは気にしたこともなかったし、じっくり鏡を見ることもないからひげが濃いなど考えたこともなかった。

「へえ。あごだけ濃いってあるんだね」
「……どうしてあんたは……」
「?」
「今、ここで言う話か!」

雅刀が怒るのは至極当然。
今、二人がいるのは寝所。
寄り添い事を始めようと、その最中で真奈が問うたのが「ひげ」だったのだ。

「だ、だって……前から気になって……」
「だったらその時に聞けばいいだろう! なんでまた今聞くんだ!」
「ご、ごめん……」

これはわざとか?
わざとなのか?
抱かれるのが嫌だという意図で、雅刀の出鼻をくじいたのか?
真奈にそんな知恵などまわりはしないとわかっていてもそう考えてしまうのは仕方ないだろう。
脱力して目の前の柔らかなふくらみに顔を埋めれば、真奈が慌てた気配が伝わってきた。
そういう意図での行動ではなかったが、このままくじかれっぱなしも面白くない。

「ま、雅刀……っ」
「……なんだ」

肩に置かれた手の惑いに、素知らぬふりで言葉を返して。
艶めく時間へと引き戻した。
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