全員集合!番外編

平千10

*このお話は土方らそれぞれとEDを迎えた千鶴達が不思議空間で出会い座談会を開く、というパラレル話『全員集合!』の藤堂家参入その後の話になってます。詳しくは『全員集合!』をご覧ください。

「千鶴……」
「な、なに?」
「俺、お前を満足させれなかったのか?」
平助の問いに、千鶴は顔を真っ赤に染めて俯く。

「そ、そんなこと……っ」
「だってお前、『千鶴達』に言ったんだろ?」
「私、そんなこと言ってませんっ!」
必死に言うが、すっかり不貞腐れた平助は背を向け肩を落とす。

二人は先程まで、謎の空間でかつての仲間たちと会っていた。
そこには何故か千鶴が四人いて、それぞれ土方や沖田・斎藤・原田と結ばれていた。
始めこそ驚いたが、そこは元は同じ人間(?)。
すぐに話は弾んで、いつの間にか夫婦間の閨の話に及んでいた。
平助とのことを問われ、困った千鶴は素直に一度だけと答えたのだが、乱入してきた沖田や原田にあらぬ疑いをかけられ、今に至っていた。
ちらり、とみると平助はすっかりへそを曲げており、千鶴はどうしていいかわからずごめんなさいと小さく謝る。

「お前が謝ることじゃないだろ」

「でも……元は私が話したことで誤解を生んじゃったから」

「誤解じゃねえだろ? 俺が緊張してたのは事実だし」

拗ねたようにあの時のことを話す平助に、千鶴はきゅっと唇をかむと顔をあげた。

「平助君のバカ……!」
「バカって……お前なぁ」
「私は……そんなこと気になんかしていないよ。あの時の気持ちを、そんなふうに思いたくない」
「千鶴……」

鋼道が見つかり、これで寂しくないなとどこかほっとしたように笑う平助が悲しくて。
寂しくないわけなんかないと、その胸にすがった。

「――ごめん」
顔を覆ってしまった千鶴を後ろから抱き寄せると、その髪に顔を埋めながら謝罪する。

「拗ねたりして悪かったよ。……ったく、左之さんや総司のやつが変なこと言うから」
「原田さん……」

ブツブツと文句を言う平助に、がばりと顔をあげると向き直ってじとりと見る。

「……平助君もやっぱり花街に行くのはお酒だけじゃなかったんだね」

「違うって! 俺は本当に酒飲んでただけで……っ」

「じゃあ、原田さんが仰ってた『前に』って何のこと?」

「そ、それは……っ」

口ごもる平助に、千鶴はすっと立ち上がると背を向ける。

「私、今日から土間で寝ます」
「千鶴?」
「平助君はどうぞ思い出の女性と寝てください!」

ぷいっと身を翻すと勝手場へと姿を消した千鶴を、慌てて追いかける平助だった。

総合判断『平助はどこでもやっぱり損な役回り』
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