翻弄しているのは

帯ゆき7

「君は本当にこの店のお団子が好きだね」

立て続けに起きた面倒事の処理に追われ、ここのところゆっくりゆきくんと過ごす時間をとれずにいた私は、彼女を誘っていつぞやの茶屋へきた。
それは文句一つ言わず、いつも「お疲れ様です」と笑顔で迎えてくれていたゆきくんをねぎらうため。
そんな私の気持ちに気づいているのかいないのか、目に見えてうきうきとしている様子のゆきくんに苦笑交じりに呟くと、笑顔と共に返る返事。

「はい。帯刀さんが連れて来てくれたお店だから、特に美味しいんだと思います」
「……っ。そ、そう……」
「?」

頬に灯る熱を誤魔化すように顔をそらすと、君は不思議そうに首を傾げてから、無邪気に団子をほうばる。
君は私に翻弄されてばかりだと頬を膨らませるけど、いつだって振り回されているのは私の方。

「……ずるいよ」

ゆきくんに聞こえない小声で呟くと、動揺を悟られないように抹茶を口にした。
私を振りまわす可愛い君には、後でお仕置きをしないとね……。
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