「はい、アシュヴィン!」
可愛い花柄のピンクの紙で包まれた箱を手渡され、アシュヴィンは口元に手をやりにやりと微笑む。
「これがリブに頼んで手に入れた“カカオ豆”で作った菓子なのか?」
「うん。豊葦原でもチョコが作れるなんて思わなかったから嬉しいよ!」
にこにこと溢れるばかりの笑みを漏らす千尋に、アシュヴィンは早速箱を開けてみる。
箱の中には可愛らしいハートの菓子が数個。
「ほぉ……初めて見る食べ物だな。本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫だってば!」
茶化すアシュヴィンに、千尋が頬を膨らませた。
「ははは、では早速頂こう」
一つつまむと口に放る。
「甘いな。しかし悪くない」
「本当!? 良かった~」
口の端をつり上げるアシュヴィンに、千尋はほっと安堵の息を漏らした。
「だが……」
「ア、アシュヴィン!?」
突然横抱きにされ、千尋が驚く。
「お前より甘いものはないな」
「や……そうじゃなくてチョコを……っ」
ベッドに押し倒され、千尋は真っ赤な顔で抗議した。
「それじゃあ、こうやって頂こう」
チョコを一粒とると、千尋の上へ置く。
そうして千尋の体温で周りが少し解け始めると、舌ですくって食べた。
肌を這う舌の感触に、千尋がびくりと震わす。
「やだ……っもう……!」
「せっかく愛しい后殿が作ってくれたんだ。一緒に食べるのも悪くなかろう?」
にやりと笑うアシュヴィンに、千尋がため息をつく。
「……その代わりちゃんと食べてね?」
「もちろん」
千尋の言葉に微笑むと、アシュヴィンはそっと千尋に覆いかぶさった。