「この馬鹿っ!」
弁慶の手当てを受ける望美に、将臣が怒鳴りつける。
「将臣くん、手当て中ですから……」
「そうだよ。先輩だって兄さんを心配して……」
「俺があんな雑魚にやられるか! ……っていうか、男を庇う女なんて聞いたことないぜ!?」
「女だって自分の大切な人ぐらい、守ろうとするわよ!」
売り言葉に買い言葉でつい反論した望美だが、自分がものすごいことを言ったことに気づき顔を赤らめる。
将臣を覗き見れば、同じく真っ赤になって絶句。
「はいはい、分かりましたから。とりあえずじっとしていてくださいね?」
呆れたようにため息をつきながら、てきぱきと望美の怪我を手当てしていく弁慶に、望美と将臣が真っ赤な顔で黙り込む。
「はぁ……本当に似たもの同士なんだから」
「仲が良くて羨ましいよね」
ため息混じりに呟く朔に、はははと笑う景時。
本人達は隠しているつもりだろうが、はたから見れば想い合ってるのは一目瞭然で。
バカップルに乾杯、というある日の一幕。