言い加減にしなさい!

将望11

「この馬鹿っ!」
弁慶の手当てを受ける望美に、将臣が怒鳴りつける。

「どうしてそう、お前は俺の前に飛び出てくるんだ!」

「心配だからに決まってるでしょ!」

「お前に心配されるほど、俺はやわじゃねーんだよ!」

怒鳴ってから、はっと口をつぐむ。
目の前には、瞳に涙をいっぱいためた望美。

「分かってるわよ……でも、心配なんだもん……」

言うやぽろぽろ涙を流す望美に、将臣がおろおろ慌てる。

「お、おい! 泣くなよ……悪かった。ありがと、な」
「……うん」

ぐしゃぐしゃ頭を撫でる将臣に、望美が涙を浮かべたままで微笑む。
そんな二人の間に、ため息交じりの弁慶の声が割って入る。

「……そろそろ手当ての続きをしてもよろしいでしょうか?」
「あ……っ! わ、悪かった……続けてくれ」
「お、お願いします」

真っ赤になってあたふたする二人に、弁慶はこれ見よがしに大きくため息をついて、てきぱきと手当てをしていく。

「はぁ~……本当に似たもの同士なんだから」
「仲が良くて羨ましいよね」

ため息混じりに呟く朔に、はははと笑う景時。
想いが通じ合ってもやはり不器用な二人に、周りは呆れ半分で苦笑。
バカップルにまたまた乾杯、というある日の一幕。
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