お日様日和

景望9

「うーんいい天気!」
すべての洗濯物を終えると、青空にたなびく洗濯物に微笑む。
ここ数日雨が続いたため、ようやくお日様のもとに干せた洗濯物はとても気持ちよさそうだった。

「ふふ、景時さんすごく残念がってたよね」

いつもならば二人で洗濯するのだが、今日は朝から仕事が入ってしまい、肩を落とし出かけて行った姿を思い出して笑う。

景時が望美の世界に来て数年。
二人で洗濯物を干したり掃除をしたり……そんな当たり前の日常の幸せを改めてかみしめる。
おかえりなさいと笑顔で出迎えられること。
手を伸ばせばすぐに触れることができること。
それは景時が望美を選んでくれたからこそ、かなえられたことだった。

「んーふわふわであったかい。お日様の香りだー」
取り込んだ洗濯物のぬくもりに微笑んで、一つ一つ手に取り畳んでいく。
と、帰宅を知らせるベルが鳴った。

「ただいまー。一人でお留守番させちゃってごめんね」

「気にしないでください。わぁ、ケーキ!」

「うん。今日も頑張ってくれてた望美ちゃんにお礼」

景時が買ってきてくれたのは望美の好きなお店のケーキで、こうした優しさに大好きですと心の中で呟く。

「あれ? もう洗濯物乾いたの?」
「はい。今日は暖かかったし、風もあったのですぐに乾いたんです。ほら、ぬくぬくですよ」
「本当だ。あったかくて気持ちいいねー」
「はい」

取り込んだばかりの洗濯物に微笑む景時に、望美もにっこり微笑み返す。

「天気もいいし、ケーキを食べたらどこかに出かけようか?」

「んー……今日は家でゆっくりしませんか? 景時さんと一緒にテレビを見たり、お料理したりしたいです」

「御意~♪」

抱き寄せられた胸の中、そのぬくもりが嬉しくてそっと身を委ねた。

晴れた気持ちの良い日は、あなたと二人微笑みあってすごしたい。
だってあなたの隣は、いつだってお日様の匂いがするから。
Index Menu ←Back Next→