「う~ん……」
眉を寄せて何事か思い悩んでいる望美に、弁慶はそっと後ろから抱きよせる。
「何を思い悩んでいるのですか?」
「あ、弁慶さん。えっと……」
言いにくそうに口ごもるが、意を決するとゆっくりと言葉をつむぐ。
「その……弁慶さんとこれだけ毎晩……してるのに、よく赤ちゃん出来ないな~って思って」
頬を赤らめながら疑問を口にする望美に、弁慶がくすっと笑みを漏らす。
「ああ、そのことですか」
「だって、コンドームとかあるわけじゃないし、普通だったら出来ててもおかしくないはずなのに」
弁慶の知らない単語を口にする望美に、しかし
弁慶はあえて追及しない。
「望美さんは子供が欲しいですか?」
「え? う~ん……出来た時はちゃんと大切に育てたいと思うけど。でも今はまだ、弁慶さんと二人でこうしていられる方がいいかな」
素直な答えに、弁慶は笑みを浮かべて口づける。
「僕もですよ。君との子供ならばとても可愛らしいでしょうが、まだまだ君を独占したいですからね」
そう、子供を授からないのは偶然ではなかった。
薬師である弁慶は、女性の子供を授かりやすい
周期というものも知っていて、きちんとその日を避けていたのである。
ただ、現代のように避妊具があるわけではないので、100%妊娠しないわけではないが。
「僕の想いを龍神が聞き入れてくれてるのですかね?」
弁慶の呟きに首を傾げる望美に、苦笑を洩らして口づける。
(愛し過ぎて、自分の子供にさえ嫉妬しそうだなんて言ったら、君はどうするでしょうね?)
胸の内で問いながら、弁慶はそっと望美の身を
横たえた。
弁慶の与える快感に反応する様に、そっと微笑むと望美に覆いかぶさった。