「……平気、ですよ」
そう笑って見せて。
望美に八咫鏡をかざさせた。
「平気だって言ったじゃないですか!」
僕の嘘を信じた君の瞳に浮かぶ涙。
最期まで僕は君を悲しませた。
この胸の痛みは、その罪の証なのだろう。
「せっかく怨霊も消して……終わらせることができたのに……」
「いいんですよ……これが僕の望み……いえ……罪であり……罰だったん……です……」
――そう。
これは僕が犯した罪への罰。
応龍を滅したあの日から、この手で決着をつけねばならなかったから。
それでも悔やむのは、最期を君の手に委ねてしまったこと。
君が傷つくだろうと、そうわかっていながら選んでしまった。
君に見せた数多の僕。
百の真実の中の真実は――。
「泣かないで……」
最期に見るのは笑顔がいい。
浅ましくもそう願ってしまうのは。
この胸に抱いた、君への――。