雨音の調べ

敦望17

「はあ……」
降りしきる雨を窓から見つめながら、望美は一つ溜息をこぼした。

「雨じゃどこにも出かけられないですね」
「ああ」
休日の今日は公園にでも行こうかと思っていたのに、朝からの雨に予定は中止に。
再び溜息を落とした望美は、ふと柔らかく微笑む敦盛に気がついた。

「敦盛さん?」
「雨の音を聞いていた」
敦盛の言葉に、目を閉じるとそっと耳を傾ける。

サア…………ポツン……。
静かな雨音に時折交じる、可愛らしい小さな音。 その優しい響きに、頬を膨らませていた顔に笑みが浮かぶ。

「雨の音楽ですね」
「ああ」
微笑みあうと、二人肩を並べて雨音に耳を傾ける。
憂鬱だと思っていた雨も、二人でいれば幸せだと思える。
そんな優しい雨の休日――。
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