幸せな罰

郁月6

デートの帰り道。
郁と別れるバス停に向かう時は、いつも寂しくて切なくなる。
それは郁と会ってる時間がとても楽しくて幸せだから。
でも私は学生で、郁にもお仕事があって、いつまでも一緒にいるわけにはいかないってわかっているから、きゅっと唇を噛んで顔をあげた。

「……浮気なんかしないでね」
「しないよ。そもそもむさくるしい男ばかりの星月学園でしようもないしね」
「学園の外ならわからないんだ……」

唇を尖らせ俯くと、くすりと微笑む気配がして、そっと頬を包まれた。

「君と出会ってから一度も他の女の子と遊んでないんだよ。そんなにしておいてまだ疑うんだ?」
「……ううん。郁のこと、信じてる」

ごめんなさい、と顔をあげると、だめだよと郁が意地悪く笑うのが見えて。

「僕のこと、疑った罰だよ」
降り落ちてきた唇を受け止めながら、こんな罰ならいつでも受けたいと、そう思ったのは私だけの秘密。
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