想いの内に秘められたもの-4-

知望1

茶吉尼天との戦いに勝利し、自身を完全に取り戻した望美は、力を取り戻して白龍が時空の扉を開いた時、仲間と共にあの世界に行くことを決意した。
茶吉尼天に操られ、自身を消滅させることで仲間を守ろうと白龍の剣で貫いた時、柔らかな光に包まれた世界で仲間の嘆きを聞いて、本当は生きたいと、彼らと共に生きたい、生きて共に在りたいと強く思った。
それはずっと生あることに執着してきた望美の強い欲。
生きてくれさえすればいいなんて思えない。
生きて、その鼓動を感じたい。
共に、生きていきたい。
その強い欲があの世界でずっと、望美を突き動かしてきたのだ。

そしてその思いと共に知った、自身のもう一つの欲。
知盛に会いたい。
会って、その熱を、鼓動を、彼が生きてる全てを感じたい。
この想いが恋情なのかはわからない。
それでも彼の傍にいたいと、そう求める思いに、望美は迷うことなくもう一度あの世界に、彼の前に降り立つことを決めた。

「やっぱり知盛殿のこと……ううん、いいわ。
あなたがそう決めたのなら、私は応援するわ」
「朔……ありがとう」

優しく微笑む対の存在に、その手を取ると共に光の中に身を投じる。
行き先は、遙か時空を隔てたあの世界。
あの人が生きる時空。
そうして再び降り立った世界で、知盛と望美の運命は動き始めた。
関係に名を持たぬままで、けれども互いの生を傍で感じる日々。
それこそが望美がずっと求め、彼と斬り結んで刻みつけ、開いた新たな運命。
二人の関係に名がつくのは、これより先……新たな物語が紡ぐ先でのこと。
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