「はい、将臣くん!」
可愛い花柄のピンクの包装紙でラッピングされた箱を手渡すと、将臣が口元をほころばせ受け取る。
「サンキュ。お前も大分菓子とか作るようになったよな」
以前の望美は全く料理に関心がなく、このように手作りの菓子をプレゼントされるようなことはなかったのである。
「うん! 譲くんのおかげだよ。譲くんがいなかったら、どうやっていいか全然わからないもの」
料理上手な譲は、自分以外の男にあげるためだというのに、生真面目にきちんと教えてやっていた。
「あいつもむくわれねーよな」
「え? なに?」
瞳をくりくりさせて聞き返す望美に、将臣は苦笑を洩らしながら頭をくしゃりと撫でる。
「なんでもねーよ」
「もう! 将臣くんったら、すぐに髪ぐしゃぐしゃにするんだから!!」
誤魔化そうとすると望美の髪を手荒く撫でる将臣に、望美が頬を膨らませて髪を直す。
「お? これはチョコとウィスキーボンボンか?」
「うん。ウィスキーボンボンは手作りは無理だったから市販のだけどね。将臣くん、すっかりあっちの世界でお酒覚えちゃったから、その方がいいかな~と思って」
「サンキュ! お前も食べてみるか?」
「私はいいよ。お酒は苦手」
源氏の軍にいた頃、戦勝を上げると祝賀の席で酒を勧められたが、どうしても美味しいとは思えなかったのである。
「じゃあ、俺がおいしく味わせてやるよ」
「え?」
包装紙を取って口にほうると、望美に口づける。
「んんっ」
濃厚な口づけの中で、二人の口内で溶けたウィスキーボンボンが望美の舌を痺れさせる。
「――どうだ?」
長い口づけの後、問う将臣に、望美がとろんとした瞳で口を開く。
「……やっぱり苦い」
「じゃあ、もっと甘いものをやるよ」
「え? あ、やだ、ちょっと……っ」
押し倒されて慌てる望美の口をふさぐと、将臣は洋服の中へと手を忍ばせた。