未来予想図

ヒノ望17

庭に降り立ち、肩を並べて。
ヒノエと望美が語り合うのは未来予想図。

「私はヒノエくん似の男の子がいいなぁ」
「俺は女の子がいいね。きっとお前に似て可愛いだろうから」
髪を一房持って口づけるヒノエに、望美が頬を赤らめる。

「女の子だったらヒノエくん、すごく甘やかしそう……」

「それはそうさ。愛しい姫君と俺の大切な吾子だからね。真綿に包んでどんな害虫も寄せ付けないさ」

「すごい親ばか……それじゃ箱入り娘になっちゃうじゃない」

「いいよ、と言いたいところだけれど、お前に似たらじっとしていてくれるはずもないか」

「むぅっ」

頬を膨らませる望美に、口づけを落とす。
笑って語らうのは、いつか二人がその腕に抱くだろう子供たちの話。
そう遠くなく訪れるであろう、未来予想図。
それはとても幸せな、少しくすぐったさを感じる暖かな時間で。

「――どっちでもいいよね。だって私とヒノエくんの子だもん! 男の子でも女の子でも、どっちもきっと愛しいから」
眩い笑顔を向ける望美を抱き寄せる。

「そうだね。でももう少し、お前を独り占めしていたいかな」
唇を重ね微笑むと、望美がはにかんだ笑みを見せる。

「ヒノエくん、大好きだよ」
「俺も……愛してるよ」
想いを交わし、唇を重ねて、未来に想いをはせる。
この先もずっと共に紡いでいく幸福な未来を――。

「でもヒノエくん、本当に甘やかしすぎちゃダメだよ?」
「大丈夫。俺には最高の奥方がいるからね」
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