二年目の大晦日

弁望123

「弁慶さん、いい加減部屋を片してください!」

昨年も同じことを言ったにもかかわらず、貴重な書物だなんだと、結局そのままとなった大量の物たちは、減るどころかさらに増えていた。
二人で住むには部屋はある方だけど、こんな調子で集められたら、いずれは家が倉庫になってしまうだろう。

「また甘やかしてもらうとか言ってそのままなら、私が新しい家を見つけて出ていきますからね!」

さすがにいつ雪崩が起きるか分からない部屋など掃除も出来ないし、ならばいっそのこと自分の身を移す方がいいのではと結論を出す。

「待ってください。どこに行くつもりですか?」
「ここではない、物が溢れ返って住めなくなる家じゃないところです」
「景時のところですか? まさかヒノエのところに行くつもりじゃ……」
「気にするのはそこじゃないですよ。一緒にいなくてもいいんですね?」
「いいわけないでしょう」

焦り書物を置いて私のところに来た弁慶さんに腕をとられて、じっと見つめられるが視線は外さずに見つめ返す。
今年こそはもう折れる気はなかった。

「でもこのままだと私が居れる部屋もなくなります」

話してる最中にも弁慶さんの後ろから雪崩が起きた音がして、諦観を含んだため息にようやく勝ったとほくそ笑む。

「ならば新たに蔵を建てます」
「は?」
「貴重なあれらを捨てることは出来ません。ですが君と暮らせないなんて論外ですからね。ならば居住区と分ければいい」

片付けるのではなく、蔵を建てると言い出した弁慶さんに頭を抱える。
大掃除にかこつけて今年こそは処分させようと思ったのに、敵は物理作戦に出たのだから。

「そうと決まったら年明けに職人の方にお願いしましょう」
「わざわざ蔵を作らなくても、片付ければいいだけじゃないですか」
「それは無理です」

暖簾に腕押し、糠に釘。
どう言っても片付ける気はないらしい。
まったくもう、とため息をつくと抱き寄せられて目を合わす。

「それで君はどこに行くつもりだったのですか?」
「どこにも行きませんよ。私がいる場所はどこか知ってるでしょう?」
「ええ。でも君は出ていくつもりがあったのでしょう?」

そんなの許さないとばかりに抱き寄せる腕の力は強くて、結局は絆される自分に呆れながら、抱きしめ返した。
Index Menu