初恋

ジョリフェリ17

「君のその思考回路を全て俺で埋め尽くしたくなる。それこそ、俺のことしか考えられないように、閉じ込めて、傷つけて、……愛を注いであげよう」

「……っ! ジョーリィ……! 変な冗談はやめて!」

 真っ赤な顔でそう怒るフェリチータに笑って見せながら、自分の感情に驚いていたのはジョーリィ自身。

愛おしい……フェリチータに向ける感情の大多数はそうだろう。
けれど、愛おしいからこそ独り占めしたい、と。彼女の目に映すものを自分だけにして、他の何にも気をそらさないでいられるよう閉じ込めてしまいたい。
自分しか求めないよう、彼女を……抱いてしまいたい。身も、心も、全て自分だけに。
そう、望む自分がいることを、ジョーリィは改めて自覚していた。

けれど、欲しいのは人形ではない。
彼女があるがまま、自分を愛し、傍にいる。
それが重要であることもまたわかっていた。
閉じ込めてしまえば、それはフェリチータという人間を壊してしまう。
それはジョーリィが望むことではなかった。

「君は本当に……面白いよ」

自分にこのような感情を抱かせた。それこそフェリチータにしか出来ないこと。
破滅を望むのか、穏やかな日々を望むのか。今はそれが分からないけれど。

「俺は君を手放す気はない……」
――手放したくない。それは絶対の想い。

フェリチータに贈ったヴェールは、独占の意思か?
彼女の少女的志向に合わせた想い故か?
――わからない。
それでも彼女が喜んでくれるなら、悪くないと思う。
相手を欲し、求め、慈しむ。それが恋と呼ぶのなら。

「間違いなく俺の初恋は君だよ、フェリチータ」
彼女の耳に入らないぐらいの声で呟いて。クッと喉の奥で笑いながら、未知なる心の動きを愉快だと、感じた。
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