冬の贅沢

弁慶×望美

「何かいいことがあったんですか?」

やって来た望美が目に見えて上機嫌だったので尋ねると、そうなんですと手にしていた袋を漁る。

「これ! 期間限定のアイスなんです! 売り切れちゃったと思ってたのに、1個だけあったんです!!」
「それは良かったですね。でも寒くないんですか?」
「暖かい部屋の中でアイスを食べるなんて、冬ならではの贅沢じゃないですか!」

ホクホクと幸せそうに顔を蕩けさせる望美に、弁慶の知る世界では氷室自体が貴重だったために、確かにこの世界でなら叶う贅沢な楽しみだと微笑み、望美を暖かい室内に誘う。

「あ、弁慶さんのもあるんですよ」
「僕も、ですか?」
「楽しみは一緒に味わわなきゃ!」

そう言って自分の期間限定品と、甘さ控えめな抹茶とをテーブルに並べると、弁慶さんも早く!と手招くのに従い、向かいに座った。
目をキラキラ輝かせてアイスの蓋を開け、一匙すくって口に運ぶと、パアッと華やぐ表情に思わず笑ってしまう。

「すごく美味しいですよ!」
「そうみたいですね」
「弁慶さんも食べてみてください!」

ほら、とスプーンですくうと差し出してくる望美に、きょとりと瞳を瞬くとスプーンと望美を見比べる。
やはりこれは「あーん」を要求されてるのだろう。
以前、白龍にそうしてプリンを食べさせていたことを思い出して顔をひきつらせるも、氷菓が溶けてしまうと諦めて顔を寄せる。

「……ん、美味しいです。こういう味もあるんですね」

この世界の料理や菓子は調理法も味も豊富で、次々と目新しいものが売られるので把握するのも大変だ。
菓子類は自分から買うことはないが、望美が好むために共に口にすることは多く、今日のこのアイスも初めて食べる味だった。
そう伝えると、目の前の望美の顔が真っ赤に染まっていることに気がつく。

「望美さん?」

どうかしましたか?と問おうとして、スプーンを所在なさげに持つ手から、彼女が自分の所行の意に気づいたのだと分かり笑う。
こうしたところが可愛いと思いながら、スプーンを換えましょうか?と、まだ使っていない自分のを差し出すと、ブンブンと音が聞こえそうなほど横に振られ、固い動きでアイスに再び埋められる。
その姿に悪戯心がわいて、望美さんと呼びかけると向けられた視線を捕らえて微笑む。

「もう一口もらってもいいですか?」

今日の弁望
嬉しそうな顔で帰ってきたので何かと思ったら期間限定の味のアイスを買ったらしい。寒いだろうと思ったけどあんまりいい笑顔で一緒に食べようと言うのでストーブの前で一緒に食べた。おいしかった。
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